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「お前等、煩ぇぞ。黙れ。」
「「「……」」」
翔君が周りを鋭く睨みつけながら低い声を出した瞬間、今まで叫んでいた女の人達は、青ざめた表情で口を閉じた。
「し、翔君――…、」
どうしよう。
翔君、凄く怒ってる。
私が名前を呼んでる事にも気付かない。
「お前等が騒ぐのは勝手だが、俺の女が耳を塞ぎたくなるような事を口にするんじゃねぇ。」
「「「……」」」
「俺の女を傷付ける奴は、女でも容赦しねぇ。それだけは忘れるんじゃねぇぞ。」
黙ったまま翔君を見つめている女の人達に向かって、身体が震えるぐらいの低い声で言葉を発した翔君は、女の人達に向けていた視線を私に移して微笑んだ。
「っ、翔君――…、」
私に笑顔を向けてくれたから、もう怒ってないよね?
話し掛けても大丈夫かな?
「……悪い。杏樹、怖かったか?」
「いいえ、怖くないです。私のために……、ごめんなさい。」
「杏樹、謝るな。自分の女を守るのは当たり前の事だ。」
「翔君、ありがとう。」
「ああ、遅刻したら麻生が煩ぇから行くぞ。」
「はい!!」
翔君は、笑顔で頷いた私の頭を撫でると『エンジェル』を押しながら校舎に向かって歩き出した。
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