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「杏樹、麻生は来てるか?」
校舎に入って教室の前で足を止めた翔君は、教室の中を見回しながら声を掛けてきた。
「えっと……、あっ!!徹平君と話してます。」
「悪ぃけど、麻生と徹平を呼んで来てくれ。」
「はい、分かりました。少し待っていて下さい。」
「ああ。」
翔君の言葉に笑顔で頷き、美優と徹平君を呼ぶために、翔君から離れて教室の中に入った。
「美優、徹平君、おはよう!!」
「杏樹、おはよう。遅かったわね?」
「おはよう!!杏樹ちゃん。」
周りの人達の視線を感じながら、楽しそうに話していた二人に声を掛けると、私に視線を向けた二人は笑顔で挨拶してくれた。
「……あのね?美優と徹平君を呼んで欲しいって、翔君に頼まれたの。」
「皆木さんが?」
「翔さんが俺と美優ちゃんを呼ぶなんて、何かあったのかな?」
「それで?皆木さんは、何処に居るの?」
「教室の外で待ってるの。」
「分かったわ。徹平、行くわよ。」
「了解!!」
「すぐに戻るから、杏樹は此処で待ってるのよ?」
「うん、分かった。」
翔君が美優と徹平君を呼んだのは何故?
もしかして、校門前での出来事を話すつもりなのかな?
不安な気持ちを心に抱えたまま席に着き、教室の外に向かって歩く美優と徹平君の背中を見送った。
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