127人が本棚に入れています
本棚に追加
「杏樹、何笑ってんだ?」
いきなり笑い出した私に驚いたのか、翔君は不思議そうな表情で話し掛けてきた。
「圭介さんと話している翔君が可愛くて、二人は兄弟みたいだなって思ったら、何だか幸せな気持ちになって、笑いが込み上げてきたんです。」
「お前は何回言ったら分かるんだ?男に可愛いとか言うな。」
「くすくす、ごめんなさい。でも、翔君が可愛く見えたのは本当です。」
「はあ、もういい。好きなように言ってくれ。」
翔君は私の言葉を聞いて大きな溜息をつくと、拗ねたような表情で視線を逸らした。
「あはは!!翔さん、杏樹ちゃん。もう学校に着きますから、喧嘩は止めて仲良くして下さいね?」
「圭介、煩ぇ。喧嘩なんかしてねぇよ。」
「私と翔君は仲良しですから喧嘩なんてしません。圭介さんの勘違いですよ?」
「あははっ!!それは失礼しました。」
私達の会話を聞いて、楽しそうに笑う圭介さんの声を聞きながら、窓の外に視線を向けると、校門前に集まっている人だかりが目に入った。
「……あの、翔君?今日は学校で何かあるんでしょうか?」
「は?ちっ、」
翔君は私が見ていた方向に視線を向けると、眉間に皺を寄せて大きく舌打ちをした。
最初のコメントを投稿しよう!