嫉妬と束縛

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「杏樹、何笑ってんだ?」 いきなり笑い出した私に驚いたのか、翔君は不思議そうな表情で話し掛けてきた。 「圭介さんと話している翔君が可愛くて、二人は兄弟みたいだなって思ったら、何だか幸せな気持ちになって、笑いが込み上げてきたんです。」 「お前は何回言ったら分かるんだ?男に可愛いとか言うな。」 「くすくす、ごめんなさい。でも、翔君が可愛く見えたのは本当です。」 「はあ、もういい。好きなように言ってくれ。」 翔君は私の言葉を聞いて大きな溜息をつくと、拗ねたような表情で視線を逸らした。 「あはは!!翔さん、杏樹ちゃん。もう学校に着きますから、喧嘩は止めて仲良くして下さいね?」 「圭介、煩ぇ。喧嘩なんかしてねぇよ。」 「私と翔君は仲良しですから喧嘩なんてしません。圭介さんの勘違いですよ?」 「あははっ!!それは失礼しました。」 私達の会話を聞いて、楽しそうに笑う圭介さんの声を聞きながら、窓の外に視線を向けると、校門前に集まっている人だかりが目に入った。 「……あの、翔君?今日は学校で何かあるんでしょうか?」 「は?ちっ、」 翔君は私が見ていた方向に視線を向けると、眉間に皺を寄せて大きく舌打ちをした。
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