嫉妬と束縛

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「翔君、どうかしましたか?」 翔君の様子がおかしい。 何だか怒ってるみたい。 翔君が怒るような原因が、あの人だかりにあるのかな? いつも私と美優が登校する時間帯には、校門前に人だかりなんてないけど、一体何があったの? 「杏樹ちゃん。校門前に居る人達は、白龍の皆さんのファンというか、取り巻きみたいなものなんです。」 「白龍の皆のファン?」 ファンっていうのは、芸能人のファンと同じようなもの? 白龍の皆は、凄く優しくて素敵な人達ばかりだから、好きだという人が居てもおかしくないけど、翔君の事を好きだと思っている人も、あの人達の中に居るって事なのかな? 人を好きになるという事は、個人の自由だと思うし、誰にも止める権利なんてないけど、翔君の事を想っている人が居ると思うと、胸が苦しくて泣きたくなる。 こんな事を考える自分自身が嫌になる。 大嫌い。 私を好きだと言ってくれる翔君の事を信じていれば、何も怖がる事なんてないのに、どうして不安な気持ちになるの? 「翔さん、杏樹ちゃん、着きました。」 「ああ。杏樹、下りるぞ。」 「……」 心の中に渦巻く不安に押し潰されそうになった私は、溢れそうになる涙を堪える事に精一杯で、私に話し掛ける圭介さんと翔君に反応出来なかった。
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