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プロローグ
【生真面目少女の疑問】
『__編入手続きをしたいので、
明日の夜、19:00に
我が校へ来ていただけませんか?』
__先日、郵便受けを開けると
突然、そんな知らせが届いた。
それはセピア色の
高級そうな封筒の中に入っていた。
「…編入手続きをしたいから
夜の19時に学校……??」
___バイト帰りの夜。
夏場後半戦をむかえ、
夜の風が心地よくなってきたころ
__私はマンションの
自分の郵便受けの前で首をかしげた。
確かに……転校するために
色々とめんどくさい手続きしたけど
………なんでわざわざ学校に?しかも今さら。
私は手紙を眺めながら
エレベーターの上のボタンを押す。
___この手紙は
偽物___はたまた誰かのいたずらかと疑ったが
宛先はきちんと私宛で
裏にはきちんと私の『転校先の名前』があった。
「……やっぱり、本物みたい。」
___にしても、明日なんて急すぎる。
明日は偶然にもバイトが休みだった。
___まるで、
私のスケジュールを
知っているのかと思ってしまう。
___なんだ、この学校、恐ろしい。
チンッと軽い音がしてエレベーターが開く。
私がすぐに乗り込み、
自分の住んでいる階のボタンを押す。
___エレベーターはゆっくりと
振動させながら上に昇っていく。
「……明日、夜の19時に学校…っと。」
__再度、反復させるように呟いて
記憶にきざむ。
___明後日のバイトは
遅めに入るように店長に頼んでおこう。
そう考えていたら
いつの間にか目的地の階に着いた。
軽い足取りでエレベーターを降り
自分の部屋へと進んだ。
___でも、このとき、
【この手紙】のせいで
私はバイトどころではなくなる事件が起こると
___誰が想像していたのだろうか。
「今日は………月が赤い。」
部屋の鍵を制服のポケットをから出し
綺麗で___不気味な月を眺めていた__
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