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山奥にあるとある田舎の町。
あまり人目につかないその町の外れに、ある一軒の木造上宅があった。
周りには自然が溢れ、人が全くいない。
永遠に広がるような綺麗な花々の咲いた野原。
その上を無邪気に歩き回る少女が一人いた。
「すーずらんすーずらんらーんらーんらぁーん♪」
キラキラと太陽の光を浴びて輝く腰下まで伸びた白銀の髪。どこまでも深く、全てを見透かすような赤い大きなつり眼。
長い睫毛に艶のある真っ白い肌。薄く柔らかそうな唇。
この世の者とは思えないその見た目は、
とても美しく、とても怖ろしかった。
歌いながら白い鈴蘭を摘む少女は、この野原の外、家の周りを覆う野原を更に覆う用に生えている10mはあるであろう木々の向こう側を見たことが無い。
否、見る気がない。
彼女は今の自分のいる空間に満足している。
何故なら、彼女にとってここが、自分にとっての" 全ての世界" だからだ。
「いち、にぃ、さん、しぃ、ごぉ、ろく、ななぁ!」
指を指しながら集めた鈴蘭の数を数えている。まだ上手く呂律が回らないところから見ると、3~5歳位だろうか。
身長は平均より少々大きい。
「おかーさん、おとーさん、よろこぶかなぁ!?」
うふふ、と笑いながら木造住宅、少女の家へと歩み始めた。
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