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ターゲット1;金澤翼
「です!」
「はるかちゃんがいきなり、です!って言った…」
階段から続く長き廊下を顔だけにゅっと出して覗いてみる。
「ぬおっ!?小波君がいきなり卑猥ワードを発したでやんす!」
「しかもにゅっとって!こ、これは…ウホッってやつですか!?」
俺と同じように廊下を見ている矢部君とはるかちゃんが何か言っているが、いつものことなので聞かないことにする。
俺達がここにいる目的はただ1つ、金澤翼を野球部に入部させることだ。
「その金澤翼ってのがここを通るでやんすか?」
「ああそうだ。はるかちゃん、そこの萌豚に情報を教えてやりなさい」
「萌豚扱いとはひどいでやんす!不肖矢部明雄、2次元キャラは心の底から崇拝…」
「わかりました。萌豚の矢部明雄さんに金澤翼さんの情報をお伝えします」
「…幸せって何処に売ってるんでやんすかね」
「金澤翼、バス停前中学校からハーレム作るぜひゃっほう!!の目的でこの恋恋高校に入学した新1年生です」
「なんか痛そうな人でやんす。同感するでやんす」
「キラキラ効果が何故かいつも出ているイケメンで、既に恋恋高校3学年全てを自身のファンクラブに所属させているほど。かく言う私も…」
「チッ、イケメンでやんすか」
「矢部君、はるかちゃんが金澤翼のファンクラブ会員になっていることが問題だと思うんだが」
「理由が定かではないですが、金澤翼さんは4時12分にいつもここの廊下を通っているそうでして…あともう少しでここにきます」
「はるかちゃん、まずは君が行くんだ」
「はうっ!?い、イクッ!?」
「はるかちゃん…君はまた」
「イクでやんすか!?」
「矢部君は黙っててくれ…あ、来た」
取り巻きの数はおよそ12人。
少なく聞こえるように聞こえるかもしれないが、これがまあ威圧感の凄いこと。
「ではいってきます!」
はるかちゃんは手に手紙を持って駆け出した。
入部届が中に入ってるのか?さすがは真面目なはるかちゃんだ。
はるかちゃんは金澤翼軍団に臆することなく、あくまで偶然あったかのように廊下に飛び出した。
…何か必死に言っているのはわかるが、遠くて聞こえ…
いいんですか?あの子にこの事がバレたら…
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