プロローグ

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物語は、世界有数の軍事大国メレセルフィラの中の小さな村から始まる――。 少年、シークァス・ベレモットの朝は、近所の鶏の鳴き声と共に始まる。むくりと起き上がった彼は、駆けるように階段を降りていく。 そして顔を洗い、外に出た彼は、家の外壁に立て掛けてあった木剣を手に取る。 シークァスは剣を構え、目を瞑る。そして、カッと目を見開き剣を振るう。 形容しがたい風切り音。 その一閃は大した練習には見えないかもしれない。だが、それは断じて否である。 戦場において、もっとも大事なことは止めの一撃ではない。初撃である。 真の強者同士の闘いにおいて、初撃でかたがつくことはさして珍しくもない。それほどのものが、その者にとって己の全てが初撃に込められているからである。 それ故に、シークァスは滝のような汗をかいていた。たった一閃なのに、である。 その一閃をしただけで、彼は木剣をまた元の場所に立て掛けた。
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