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そこから4年。
25の私の部屋には、あの頃の私と同い年になった21のカイリが住み着いている。
何がどうなってこうなったのか、私は未だにわからない。
出会って二日目で追いかけられて、2週間以内に拾ってしまった。
ただのからかいのはずが4年。
長すぎる。
なんでここにいる?カイリ。
さっさと同い年の女に乗り換えろ。
私はベッドに転がる金髪の男を踏みつける。
「ぐえっ!…いてぇよぉ、翔ちゃん、ひどい…」
潰れた声をあげて、カイリは泣き真似をしてみせながら、私を見上げる。
相変わらずかわいい顔をしている。
女の子にはもう見えないけど、女装させたら似合いそうだ。
「……ねぇ?なんでここにいるの?浮気すれば?」
そのまま相手を本命にして、どこかにいってしまえばいい。
「いーや。翔ちゃんも浮気しちゃダメだよ?」
カイリは踏みつけた私の足に抱きついて、爪先にキスしてくる。
まったくもってわからない。
私はこんなかわいい男に釣り合うかわいい女でもない。
「ポチ、お腹すいた」
「…返事してから言えよ。……はいはい、飯作るよ、作ればいいんだろ。でも材料なんもないから、買い出しいくよ。翔ちゃんがつきあってくれないなら作らないよ」
飯…。
私はカイリと部屋を出て、カイリに車を運転させて買い出しへ。
私がカイリを使ってるのか、カイリに使われているのか。
なんかよくわからない関係。
きっと私はどこかで間違った。
こんなに長くつきあうつもりもなかった。
カイリのお気に入りの安いスーパーで買い物して、荷物を車に乗せて。
「あ、翔ちゃん、もうすぐつきあって4年記念日。泊まりで海いかない?」
カイリはうれしそうに笑って私に声をかけてくる。
…その日が私の間違いの始めだ。
「おばさんに水着着せてどうするの?」
「おばさんじゃないっ。お姉さんっ。セクシーなの着て?翔ちゃん、スタイルいいから絶対似合う」
「…なんか歌思い出した。なんだっけ?…派手な水着はとても無理よ。若い子には負けるわ」
「なにその歌?」
「私がオバさんになっても」
「……何年恨むの?」
「百年」
「…俺もおじさんになったよ」
「じゃあ私、おばあさんか」
カイリは私の腕を掴んで、違う違うと頭を横に振りまくる。
…いつまでもかわいいやつだ。
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