Dreaming with you

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「すっげ緊張した、すっげぇ緊張したっ、すっっげぇ緊張したっ!」 ギター抱えて帰ってきたカイリはテレビの中のあのイケメンっぷりはどこへやら。 叫びまくったかと思うと、私に抱きついてくる。 「翔ちゃん、ちゃんと見てくれた? 寝ていて見逃したとか言い出しそうな翔ちゃんに、ちゃんとお土産持って帰ってきたけどね。はい、俺の初めてのテレビ出演DVD」 すりすりと私に擦り寄って甘えまくって、なんか本当に私がやらかしかけたこと言ってDVDを差し出してくる。 「サイン」 「そんなもん、翔ちゃんが書いてよ」 「なんで私があんたのサイン書くのよ」 「俺、字下手だもん」 カイリはぶーぶー頬を膨らませて、それでも黒マジックを持ってくるとサインを書いてくれる。 「…いくらで売れるだろうね」 「非売品。売るのダメ。絶対。ちゃんと見て感想ちょうだい」 「見たよ、テレビ。無表情だった」 「……緊張したもん。見たの?翔ちゃんなのに」 私なのにってなんだよ。 どうせ忘れていて、見逃すところだったよ。 わかってるところがムカつく。 「怒らない、怒らない。ギター、実はミスったんだよな」 カイリは今度はギターをケースから取り出して、私にはよくわからないミスした場所を弾く。 それよりお腹すいた。 その歌はもう聞きあきた。 歌詞、全部覚えてる。 少しは我慢してみたけど、お腹の音のほうが正直だ。 ぐーぐーいわせながらギターばかり見ているカイリを見ていると、カイリはテレビでは一度も見せなかった笑顔を見せて顔を上げる。 「翔ちゃん、お腹空きすぎじゃね?俺がいなくてもなんか食べておけばいいのに」 「今お腹すいた。ご飯」 「はいはい」 カイリはギターをベッドに立てかけて置いて、立ち上がってご飯を作りにいく。 …別に作ってくれなくてもいいんだけど。 カイリのほうが疲れているだろうし。 放送終わってすぐに出て、まっすぐ帰ってきたんだろうし。 …泊まってくればいいのに。 私はカイリのギターを手にして、カイリが弾くのを真似して弾いてみる。 私はけっこうなんでもできるほうなのかもしれない。 何気に弾けてる。 「翔ちゃん、ギター、そこ1弦弾いちゃダメだって。あ、そこは4フレッドに移動して…」 耳で聴いただけでカイリは何か言ってる。
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