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悪ガキカイリは夏休み。
毎日、暇を持て余しているらしく、コンビニで待ち伏せすることはなくなったけど家で待ち伏せするようになった。
よって、私はカイリを家にあげている。
「木ノ瀬翔?…男?」
カイリは私に届いた携帯の支払い請求を見て首を傾げる。
「ここに男がいると思うなら今すぐ出ていけ」
私はコンビニご飯を食べながら言ってあげる。
「…え?お姉さん、翔っていうの?」
「悪い?」
「……翔さん…。なんか男呼んでるみたい。キノコ?」
「妙なあだ名つけてくれるよね」
「キノコのほうがかわいくない?木ノ瀬だろ?」
「ふーん。カイリってキノコ追いかけてストーカー紛いになったんだ?キノコって椎茸?えのき?」
「…ごめんなさい。翔ちゃんって呼んでいい?」
「年下に『ちゃん』つけて呼ばれるの微妙なんですけど」
「そういや何歳?」
「何歳に見えたらおばさんって言われるの?」
カイリは思いきり悩んでくれる。
実年齢より上に言っても、下に言っても、揚げ足とってやろう。
「……二十歳くらいかなぁと」
「成人したらおばさんなんだ?」
「……もう忘れようよ、それ。言ってない、言ってない。
俺、17だよ。6月生まれの高校2年。翔ちゃんは何歳?誕生日いつ?」
「なんで誕生日聞くの?」
「祝ってあげるため」
「誕生日7月。もう過ぎた」
「じゃあ今度、遅くなった誕生日祝おう?ケーキ食べよう?」
考え方がかわいらしい。
これは女の子じゃないだろうかと疑う。
顔もかわいいし。
でも声はしっかり男。
ちゃんと声変わりしてる。
煙草や酒で喉焼けたとか…?
私はじーっとカイリの股間を見る。
カイリは私の視線をたどって、両腕でそこを隠すように絨毯に手をつく。
「…初めてだから…あんまり見られると恥ずかしい」
なんて赤くなって言ってくれる。
これは女の子だろう。
私は男だったかもしれない。
胸あるけど。
Fもあるけど。
アンダー65で華奢だけど。
私はカイリから顔を逸らして、食後の一服。
「……って、またしないのっ?いつしてくれんのっ?」
一夏の経験を私に求められたって困る。
教えてって言われても困る。
だって私、1回しかしたことない。
…そんなに遊んでる女に見えるのかな…。
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