First Final

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「自分で言ったんじゃないっ」 さすがに私も哲也の態度にまた怒りかけて。 「キノ、落ち着け。こいつ馬鹿だから。どこまでも不器用な男の代表ってところだから。キノとつきあったのは、誰でもよかったけど、誰でもよくなくて、うれしかったからつきあったんだって。めんどくさいよな、こういう男。照れ隠しの言葉で自滅する馬鹿」 智がいつものように仲裁。 そんな男はめんどくさすぎると思う。 素直じゃない男はめんどくさい。 でも素直すぎて体しか興味ないとかぬかす男はもっといやかもしれない。 「智、黙れ」 「いやいや、長年の亀裂、今日こそは埋めよう。女にみれないってどういう意味?別れたかっただけ?もう思春期の少年でもあるまいし、白状しろよ」 智はまだ仲裁しようとして、哲也の肩に腕を引っかけて哲也を逃がさない。 私もあの頃よりは落ち着いて、聞いてやろうじゃないかという態度でいられる。 ふざけんな、聞きたくないとは逃げない。 聞きたくなかったのは自分が傷つくことに怯えるから。 今は哲也にいくらなじられようが、仕返しになじりかえしてやろうかとも思える。 「……カッコ悪くて白状したくない」 哲也がまだ素直にならないから、私も智もげしげし哲也を蹴って虐める。 「いてぇだろっ、おまえらっ。…俺の童貞卒業セックス、早漏で下手くそだったし、嫌われる前にせめて友達に戻れば、これからも…とか…」 哲也は白状した。 ものすごく恥ずかしそうに。 たったそれだけ?と言いたくなる。 「キノを女に見れないのか?そのセックス、どっちが誘ったんだよ?」 智は哲也に聞いて、私は哲也から誘ってきた、あの初々しいものを思い出して恥ずかしくなる。 哲也の部屋でキスして、哲也の手が私のブラウスのボタンをはずしていって…。 真っ赤になって哲也の顔を見れなくなって逸らす。 「女と見たら友達でいられないだろっ。ちょっとした仕草とか、胸が揺れるのとかパンチラ見て勃起してるの知られたら変態って言われるっ」 「変態」 私は懸命に智に弁解でもしているかのような哲也に言ってやる。 哲也は言葉を止めて、智に八つ当たりしはじめた。 子供だった。 そういうこと。
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