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変態哲也は、ざっくざくに私の心を切り刻んで傷つけているとも知らずに、俺、彼女できたとか友達顔をしていたということだろう。
哲也を思いきり避けてやっていたあれは、いい仕返しになっていたらしい。
「おまえが余計なこと聞くからっ。コクるくらいはいいなってキノは俺のこと思ってくれていたのにっ」
「ちょっと哲也。もう思ってないから。あんたが振ってくれたときに砕かれてるから」
私は哲也を止めるように言ってやる。
哲也は更に砕けてくれたらしく、近くの木をばしばし叩いて。
そんな姿を見せてくれるから、私はどこかうれしくも思って笑う。
「友達でいたいからコクられてうれしかったわけでもあるまい。ずっとこのままでいたいと思って、不安になって別れを切り出した自滅野郎」
智は哲也を追い込むように更にからかうように言って。
「おまえだってキノ、狙っていただろっ。おまえが狙ってるからわざとおまえに見せつけてやっていたんだよっ」
哲也は何かあざといことをしていたことまで暴露して、智は哲也にぷちっとキレたらしく、哲也の背中を狙って蹴り始めて、哲也は逃げる。
26になるいい大人たちが、なんか馬鹿なことをしている。
高校の同級生って、会えば高校の頃に戻った気分になるかもしれない。
私を振りながらも好きでいた哲也。
好きでいてくれたけど、哲也の妨害もあって何も言わなかった智。
なんにも気がつかなかった鈍感な私。
モテていたらしい。
それなりにイケメンなところに。
でも遅い。
今だから言える的に話されても、まったくもってうれしくない。
「キノ、いくぞ」
智と哲也は存分に遊んで落ち着くと、まだ私を連れ去ろうと声をかけてくる。
「いかないって」
「待ち合わせ?彼氏?そういやあのキラキラのイケメン高校生、マジで芸能人になっていたよな。どっかで見たことあると思ったらキノの元彼。遊ばれていたんだろ?かわいそうに」
なぜか、どうしてか、私は別れていることに哲也の中でされている。
そして哀れみのようで哀れみじゃないその言葉はイラつくからやめてもらいたい。
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