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咲「で、説明してもらえるんだよな?」
家のリビング。
姫月の入れた紅茶を一口飲み、俺はそういった。
姫「するよ、するしかないもん。
だけどその前に2人に注意とお願いがある。」
――カチャリ
ティーカップをソーサーに戻し、真剣な瞳で言う。
姫「私が今から話すことは全て事実。
嘘でも冗談でも、ましてや夢でもない。
どんなに信じられなくても事実。
それからその事実の中には、酷く受け入れがたいものもある。
それを分かった上で…、覚悟した上で聞いて。
私が話せることは限られてる。
全部を知っている訳ではないし、話したくないこともある。
嘘を吐いたりはしないけど、全てを話す訳じゃない。
それから…、これはとっても勝手なお願いだけれど……。
話を聞いても今まで通りでいてほしい。」
1つ1つの言葉が酷く重くて、それだけ今から聞くことになる話が、とても大事なことなのだと伝わった。
初めてだった。
ただ純粋に話を聞くのが怖いと思ったのは。
ホラー系の怖い話というのは、確かに怖いけれど、そこには興味と楽しみもある。
ただ怖いだけじゃないのだ。
けれど今は違う。
姫「もし今聞きたくないと思ったのなら、聞かないで。
途中で聞くのを止めるのは許さない。」
あの姫月がここまで言うのだ。
それだけ、受け入れがたいことで聞くに耐えないことなのだろう。
聞くのが怖い。
怖いけれど、聞かなきゃいけないって、俺の中の何かが知らせる。
満「……どんな話でも俺は最後まで聞く。
聞かせて。」
そう思っていると先に満月がそう言った。
姫月は小さく頷き、俺の方を見た。
覚悟を決め、俺も姫月に伝える。
咲「話せ。全部聞いてやるから。
だからそんな苦しそうな顔をするな。」
それが俺の本心。
受け入れがたい事実でも聞くに耐えないようなことでも聞いてやる。
だから。
だからどうか。
そんな苦しそうな、悲しそうな顔をしないで?
1人で全てを抱え込もうとしないでくれ…。
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