6人が本棚に入れています
本棚に追加
満「…なんなのあの子達。」
姫「同じ中学なんだってさ。」
咲「1人はこのクラス、他はEクラスらしいよ。」
この学校のクラス分けはA~Iの9クラス。
成績優秀、家柄も優秀な子はA。
成績優秀、家柄まぁまぁな子はB。
成績優秀、家柄普通な子はC。
成績普通、家柄優秀な子はD。
と、なっている。
姫月と咲月はAクラス。
俺はGクラス。
成績残念、家柄優秀なクラスだ。
満「ふぅん?」
姫「なんか捕まっちゃって困ってたから助かったよ。」
ほんのりと眉を下げ微笑む。
本当に困っていたんだろう。
まあ、それも仕方ないかもしれない。
体育等で他クラスと行動するときは家柄で分けられる為、この学校では同じ様な育ちの子と接する。
それ故、違う環境の子では話が合わなかったりもする。
持ち上がり組ならまだどの生徒もそれなりに育ちが良いが、外部組はそうはいかない。
今までこんな厳しい環境にいた外部組の生徒は少ないだろう。
彼等にとっての普通である若者らしい立ち居振る舞いはこの学校においては異端なのだ。
温室育ちなこの学校の生徒の中には、外部組を極端に嫌う人もいる。
咲「外部が入ると変わるとは聞いていたが、あまり良い意味の変化ではなさそうだな。」
姫「うーん、一概には言えないけれど…。
でもまあ確かに、あの言葉遣いとかが移ったら少し嫌かな。」
3人で苦笑を浮かべる。
まあだが学校生活を送るうちにある程度は自然と矯正されるだろう。
満「それより、この後どうするよ?
どっか行く?」
咲「どっか行くならまず飯。
帰るにしても帰ったら飯。」
満「腹減りすぎだろ…。」
美「ねぇ。」
そう言って彼女はスッと立ち上がる。
年不相応な妖艶な雰囲気を纏って、綾吊美月が立ち上がる。
艶やかな黒髪がさらりと揺れる。
細い手足は上品に動く。
真っ黒だった筈の瞳は妖しく紫色に光っていた。
――怖い。
怖いのに、目が、離せない。
そこにいたのは入学式前にあった少女じゃなかった。
彼女は朝、駅で会った少女だ。
見た目は同じなのに全くの別人。
最初のコメントを投稿しよう!