Prologue

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  自身を定義付けるものとはなんだろうか。 性格? 記憶? 経験? それとも身体というものが、最早その人自身を示しているのだろうか。 己というものに実感が持てなくても、他人から見れば、自分は自分でありそれ以外の何者でもないのだろう。 しかし、だ。 自分が自分であることに実感が持てないというのは、生きている実感がないことに等しい。 自らの意志で自らの身体で何かをしている筈なのに、ただ映像を見せられているような感覚に陥るのだ。 これは自分ではないのだと、そう思って育ってきた私。 そう思うしかなかった。 今更"この自分"というものを認識出来る筈がなかった 何故なら私には既に人格があり性格があり記憶があり経験があったからだ。  
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