Chapter 1

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   「あぁ、姫月さん達、おはよう。」 姫「おはようございます。」 講堂の中は花の匂いで満ちていた。 広い講堂の中に所狭しと並べられた花は、学校への物もあれば生徒個人への物もある。 流石金持ち校と言ったところだろう。 今尚運び込まれているが、当然数は膨大な訳で、この分だと外にも並べられることだろう。 講堂という名のホールは3階席まであり、テラス席もある。 どうやら1階が生徒、2・3階が保護者、テラス席は来賓と分けられているようだ。 今は見れないが、客席と壇上の間にはオーケストラピットも存在する。 わざわざ劇団を招いてオペラの鑑賞をしたりするのだ。 馬鹿馬鹿しいことこの上ない。 上がりきった緞帳を下ろせば、そこには大きく銀の荊(イバラ)と剣と薔薇が描かれている。 それこそが我が校の校章である。 銀荊学園は元々、リトアニアの軍学校だという。 それがどういう訳か日本に移ってきた。 校章の剣は武勇を、薔薇は血を、そして荊は罰、転じて厳しさを示すのだとか。 そのせいなのかは分からないがこの学校の校則は馬鹿みたいに厳しい。 メイク、ワックスの類いは一切禁止。 付けてきたら学校で落とされる。 スカートが短かったり、カッターのボタンを外していたり、ネクタイをゆるめていたりという服装の乱れは、反省文。 髪を染めたり、ピアス穴を空けようものなら親を呼び出される。  「…ん? えぇと、貴女綾吊さんね?」 美「はい。」  「良かった~迷ってるんじゃないかって他の先生方と話してたの。」 そう思うなら迎えに行くなりなんなりすればいいものを…。  「じゃあ2人はこっちで打ち合わせをしましょう。 咲月君と満月君は…、準備手伝ってほしいな~…?」 満「嫌って言ったらやらずに済むんですか?」  「あはっ、無理、やってね。」 まあそうですよね。 姫「2人共頑張ってっ!」 可愛い。 可愛過ぎる。 こんな可愛く応援されたら頑張る他ないじゃないか。 咲「頑張ったらご褒美にちゅーして?」 姫「それは嫌。」 ナイスです姫月様。  
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