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「あー、人生終わりてー。」
自室のソファーそうつぶやく男は三十路を1年前に通過したおっさんである。会社では上司から毎日のように怒鳴られ、養う家族もいなければ彼女もいない。人生の目標もない上、趣味もない。つまり心のより所がないのだ。こんな奴は世の中五万といるだろうが、何せこの男は根性のkの字もない駄目な人間なのだ。
「いや、終わるのは勿体ないな。やり直したいにしておこう」
と、どうでもいい訂正をし、
「やり直すなら何歳からがいいかなー。やはり小学生かな?でもただやり直すだけじゃ面白みがないな。性別からやり直すか(笑)」
やり直せる状況に陥った時のシュミュレーションを脳内で展開する始末。
「このやり方じゃ彼女できにくいか?やはり幼なじみの美少女を作っておくのが無難…ん、もうこんな時間か、そろそろ寝よう。明日も仕事だもんな」
電気を消しベットにもぐりこむ。
「おやすみ」と、誰に聞こえるわけでもない声が、暗い部屋に響いた。
朝起きたらこれだもんなぁ!困っちゃうぜ全く!
何だろう、性別からやり直すか(笑)って発言が今の現状を招いたの?美少女になれただけマシだけど…。
ちなみにこの娘の名前は灯(あかり)というらしい。母が俺を呼ぶときそう呼んでいた。
「夢じゃないのかな、これ」
ボソッとつぶやくと母に聞こえたらしく
「変な事言ってないで早くご飯食べちゃいなさい、遅刻するわよ」
とか言われた。それにしてもこの母は美人だ。灯ちゃんに似て、パッチリ二重の整った顔立ちである。しかし美人だなぁという以上に感じることはない。自分が女の子だからか?
そうこう考えている内に食事も終え、ランドセルを背負って、玄関に向かう時に
「灯ちゃーん!迎えに来たよー!」
と、元気な声がドアの向こうから響く。
誰だろ、灯ちゃんの友達か?
「千影(ちかげ)ちゃん来てるわよ。行ってあげなさい。」
グッドタイミングで俺の疑問を解決してくれた。
千影ちゃんか、可愛らしい名前だな。
千影ちゃんがどんな顔なのか少しワクワクしながらドアをあけると、薄めでオレンジ色、長さは灯ちゃんより少し長い髪をサイドで束ねた可愛い女の子がいた。
千影ちゃん可愛いぃぃぃぃぃぃぃぃ!ロリコンではないが内心発狂していた。灯ちゃんとは違った可愛さだ。
小動物系というやつか?めっちゃナデナデしたい。
「学校行こっか。」
にこっと微笑む千影ちゃんマジ天使。
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