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「おう。元気か。 」と中村が俺の肩を小突くと、向こうの席に座った。
嫌な奴だ。最近、急速にジャイアン化してきた。
俺のものは俺のもの。お前のものは俺の物。そんな理屈が通るか。
怒りがフツフツと沸き上がる。
横目で観察していたらしい米田がとりなす。
「まあまあ。気にするな。いざとなれば、俺がついてる。」
米田はクラスのボスだ。だが、こいつも実は当てにならない。
中村から相当借金をしているらしい。
今日はクラスの同窓会だが、色々と不穏な空気が漂っているようだ。
向こうの席では中村の隣に座った狂犬、北野がこちらを睨んでいる。こいつはとんでもないアホだ。誰からも相手にされていない。いつも、懐にナイフを忍ばせているらしい。中村だけが可愛がっているようだが…
実は中村とは幼なじみで、昔、よくイジメてやった。だが、俺もこれは悪かったと、反省して色々と世話を焼いてやったのにそのことはすっかり忘れている。
昔いじめられたことをいつまでも根に持っているのだ。
まあ。仕方ない部分もあるが…
最近になって急速に背丈もデカくなり、圧力を増してきた。今、中村と喧嘩をしたらどうなるだろう?負けるんじゃないか。
まあ、いい。これからは比嘉や泰なんかと仲良くやっていこう。
「よし。いいぞ。お前ら。ここは俺が払うよ。」
俺は親分風を吹かせて言った。
「おいおい。大丈夫か?」米田が割って入る。
俺は見栄っ張りだ。昔は年収800万を誇った。
今は毎年300万借り入れて、いまの生活を維持しているのだ。
つまり、収入は500万と大幅に下がった。今、借金は1億を超えている。だが、俺は気にしないことにしている。
なーに。どってことない。景気よく振舞っていればそのうち運も向いてくるってもんさ。
俺はレシートを手に取った。
「今日は俺のおごりだ。」
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