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さて、二人で村を回って色々話を聞いたのを纏めると……
明け方
周りに誰も居ない
この二つが条件となっているのか、全員から共通して聞き取れた。
他には何もないところから火が、黒い霧が通ったら痺れた、声が聞こえたと思ったら腕が切れてたなど。
「そう言えばユミルさんって何時帰ってくるんだろう?」
「それはあなたが把握してるんじゃないの?」
「いや、今回は商売とか関係無しに飛び出して行ったからなぁ」
「商売とは関係無し?」
「まぁ、僕が原因なんだけどね……」
元を辿ればこの村にヴァンパイアが現れたせいなんだけど、勝手に使っちゃったのは僕だからね。
「……」
ふと、エミリの足が止まった。
「どうしたの?」
「何でもないわ」
エミリは相変わらず無表情で平然とした様子でそう答えた。
明け方、紫色の空を眺めながら僕は村の中を歩く。
家畜を飼っている家はそろそろ起き始めて準備を始める時間帯だ。
「おはよう。レオン」
ふと、レオンの姿を見かけたので声を掛ける。
「……早いな」
「それはお互い様だよ。レオンは何してるの?」
「胸騒ぎがした。だから、こうして胸騒ぎの原因を考えてる」
「そうなんだ……そう言えばレオンは特に怪我してないんだね」
「ああ、だけど俺だけではないだろ?」
確かにレオンだけ怪我をしてない訳ではないが、何か違和感を感じるのだ。
怪我をする人と怪我をしない人……どこに違いがあるんだろう?
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