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その後、マリクさんのせいで火事の原因を調べる気すら起きなかった僕はその日は一日中調合しながら過ごしていた。
そして、今日の事件がこの村に訪れる異変の始まりだとは知る由もなかった。
「また、怪我?」
マリクさんを治療したその日から僕への認識が、ヒモから医者にランクアップしたようで怪我をした村人がやってくるようになった。
一応、自分は薬師と言ってるんだけどね。
「……なんで凍傷が」
「凍傷?」
「極寒の地域でよく見られる奴ですよ。分類的には火傷の逆バージョン、冷た過ぎて火傷になってるんです」
火傷みたいであって火傷とは少し違うが、分かり易く関連付けて説明した。
一応、この人には凍傷に効く薬を渡して帰ってもらった。
この前は感電みたいなのもあったし、普通じゃ有り得ない傷が多すぎる。
「そこまで珍しい怪我じゃないわね」
そう言うのは現在、真の穀潰しであるエミリ嬢。
「学校じゃそう言う怪我は良くあったわ」
「魔法でしょ?でも、この村で魔法が使えるのはエミリだけだよ」
しかもエミリの魔法とやらは驚くほど貧弱らしく、一番簡単な火の魔法でもマッチ並の火しか出せないようだ。
それにエミリも僕も家をあまり出ないので、エミリに関してはアリバイがしっかりとある。
少し調べてみる必要があるね。
「私も行くわ」
「えー……」
「家にいてもやることないし」
やることなら一つあるよ。
掃除とか!
エミリは誰に似たんだか僕の先生と同じ掃除が出来ない人間だ。
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