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ある夏の日、ふらりと立ち寄った駄菓子屋で、俺は『そのクジ』を見つけた。
誰だってあるだろ?
ボーッとした帰り道、何気なく見た道端に駄菓子屋さんがあって、懐かしいなあなんて思いながら、中を覗いてみたことが。
俺もそんな感じ。何の気なしに、この駄菓子屋に立ち寄ったんだ。
「あー、そうそう。懐かしいな」
駄菓子屋の中は、小学生の時に百円を握りしめて来た、あの時のままだった。
十円ガムやら、カラフルな色をした飴玉、一昔前のアイドルのクジなんかが、所狭しと並べられている。
だが俺の目は、とある一点に引き寄せられた。
【超能力あげます!!】
それは、こんな非現実的な文字が書かれた、汚い看板だった。
「なんだか面白そうだな。おばちゃん、一つくれ」
「はいよ。そこのクジを引いとくれ。一回50円だよ」
店番のおばちゃんが顎で示す方を見ると、確かに薄汚れた箱にクジがいくつか入っている。
まあ、能力なんて胡散臭い話、ある訳ないか。
そう思いながらも、気がつけば俺は目を輝かせながら、おばちゃんに50円を渡していた。
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