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箱に手を突っ込み、しばらくガサガサと掻き回す。
……あ、これにしよう。
今中指でギリギリ押さえてるこれに決めた。
「よっと!」
ズボッという音と共に、ダンボール箱から強引に手を引き抜く。
箱は古いものらしく、手を抜いた時にちょっと壊れた。
「さてと、超能力ってのは……ん?」
掴んだクジには、「こどもの日」と書かれていた。
さっきの看板に勝るとも劣らないほどの、超絶に汚い字である。
「なあ、おばちゃん。こっからどうすんだ?」
「かっかっか、どうするもこうするも、お前さん次第さ。もうお前さんは、『こどもの日』の能力者になっちまったんだからね」
おばちゃんはそういってかかかと笑う。
おばちゃんが笑うのに合わせて、白髪混じりの激しいパーマがユサユサと揺れた。
「いや、『こどもの日』の能力ったって、どんなもんかもわかんねえし……」
「おーい!ちょっと来てくれい!」
その時、店の奥からおじちゃんの声がした。
おばちゃんの夫だろうから、勝手におじちゃんにした。
「はいはい、今行くよー!」
すると、おばちゃんはよっこらせ、と言って立ち上がり、さっさと店の奥へと行こうとする。
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