第七章

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****** 『ハルでも分かる!やさしい祝日戦争~入門編~』。 ここは現実世界、とあるでっかい建物の中。 とある少年が小さな生徒手帳のような冊子を片手に、白い廊下をてくてくと歩いていた。 冊子の表紙には先に挙げた文言がでかでかと書かれており、その監修は『超絶完璧天使ガブリエル』、何故か下側についている名前欄には、『1ねん3くみ かんだ はる』と書かれていた。 『かんだ はる』とは言わずもがな、この少年の名前である。 ちなみに漢字で書くと『神田 晴』となる。 小学生の頃『外国の地名みたい』と友達に言われ、自分で調べて愕然とした経験を持っている。 また少年と言っても、青年に限りなく近いそれであり、少なし名前を漢字で書けない年齢でないことは確実だ。 なので、名前欄その他はデジタルであらかじめ打ち込まれているものであり、平仮名なのは少年の意思とは全く関係がない。 ……と、本人は周りに思って欲しいらしい。 手の腹で上手く文字を隠すようにして、すれ違う仲間に何の本を読んでいるのはを悟らせないようにしているのが微笑ましい。 何やら呪文をぶつぶつと詠唱しながら、少年は……もとい、ハルは廊下を進む。
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