Intro

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ちょうど、二人の耳に足音が一つ聞こえた。 革靴がコンクリートを蹴る、駆け足の音である。   「親父、叔父貴」   そう言いながら現れた一人の男。 ストライプ柄が入った黒いスーツに身を包み、淡い茶色がかった髪を長く伸ばして後ろで束ねている。   彼はトニーとウィリアムの目の前に到着すると、背筋を伸ばして軽く頷いた。   「何かあったか」   「はい」   「さっさと言え」   トニーがマルコと話し、ウィリアムは黙っている。   「犬です。車両は手筈通り近寄れませんが…」   「ヘリか?」   「はい。それと、ここから多少離れてはいますが、巡視艇が二隻。ハドソン川でうろちょろしてます。 俺達を張ってるのかは分かりませんがね。どうしますか、親父」   マルコが主に伺いを立てる。   「船は無視しろ。ヘリは何をしてる」   「わかりません」   「わからねえ、だと?」
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