♯2

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ギィィ。   「大司教様」   一人の兵士が入ってきた。   「どうした。ベレニーチェの病室では怪我人が入りきらんか」   「いえ、戦闘終了の知らせです。 聖堂への騎士団員の遺体搬入を許可いただきたい」   「うむ…埋葬までの間は仕方あるまい。 座席を壁際へ」   「ははっ!」   しばらくすると、数人の兵士が聖堂内の席をどけ、いくつもの麻袋を担ぎ込んできた。 遺体なのは言うまでもない。   「…」   辛辣な面持ちでそれを睨む大司教。 魔族への怒りがこみ上げているのだろう。   「これは、兵士の遺体だけか? 一般人のはどうしている」   「城下街にもいくつか教会や墓地がある。そちらに」   胸で十字をきり、祈りを捧げる。 カトリック教徒であるウィリアムも同じく祈った。
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