第1話

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☆ 矢持一花は、布団にもぐりながら今日あったことを思いだしていた。 それは、今朝。 横断歩道を渡ろうと、走ってきたところで信号が赤に変わった。 残念がって肩をおとし、友達のメールの返信の続きをしていた時、 『ガラッ』 と、突然大きな音がした。 少し驚いて、周りを見渡すと、なぜか、みんなが私の方を見ていた。 正確に言うと、きっと私の真上を見ていた。 「…っ」 その瞬間、とても大きな音がして、地面が揺れ、よろめいた先には、私がいた場所に何本もの鉄柱が突き刺さっていた。 それなのに、私は怪我一つすることなく、むしろ野次馬の一人としてその場を見ていた。 私は、横断歩道を渡り切っていた。 私が立っていた場所の隣には、マンションか何かを建てるのだろう、工事が行われていた。 工事に使っていた鉄柱だろうと私は簡単に想像をした。 いつのまにか、一花は横断歩道を渡り切っていたと思い込んでいた。 ――目があった。 何故、あったのかはわからない。 もしかしたら自分と同じ学校の制服を着ていたからかもしれない。 もしかしたら、同じクラスだからかもしれない。 私の反対側から事故を見ていた、 「池上颯太」 髪はとても黒く、肌の白さがとても目立つ。整った顔立ちをしていて、とても静か。 しかし、クラスからはみっている感もなく、仲のいい友達は普通にいる。 少し、おかしなところもあるのだが、ただおとなしい男子としか認識していない。 彼は、目が合うと、私の方を見て優しく微笑んだ。 そして、 「無事でよかった」
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