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夢をみていた。
まだ私が侑哉と結婚する前の夢。
出会いは高校生の時だったなぁ……
毎回席替えが楽しみだったあの頃。
目が合うだけでドキドキして、目が合った回数を数えていたあの頃。
両想いになってから、初めてのデートで手を繋いだ時のこと――恥ずかしくて、手だけが、じんじんと汗ばんで。
初めてキスをした時のこと――恥ずかしくてしばらく侑哉の顔を見ることができなくて。やっと顔を上げたら、真っ赤になって俯いたっけ。
初めて身体を重ねた時――遂にひとつになれたんだ、ってスゴくスゴく嬉しくて私はその場でわんわん泣いたんだっけ。
それはどんなに時が経っても色褪せない、アルバムの一頁。
――大事な、大事な―――――
――あれ、私、いつの間に眠って……
「!! あっ、やばっ、じ、時間は!!?」
飛び起きて、真っ先に壁掛け時計が指し示す時を見て――私は顔を蒼白にさせた。
飛び起きた視線の下では、眼をぱちくりとさせた陽菜がうつ伏せの状態で「あーあー」とご機嫌にずり這いしていた。
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