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娘が転移してきた場所は、喧騒の中心。
...のように騒がしいギルド本部の建物である。
その中に娘は扉を押し開けて躊躇うことなく足を踏み入れる。
途端にギルド内はあれほど五月蝿かった話し声が止み、静まりかえる。
人々の視線は揃って娘に向いている。
聞こえる音は娘がたてるコツコツという軽い足音のみ。
娘の姿を追って人々の視線も進んでいき、やがてある新任の受付嬢の前で止まる。
「えっ、えっ?
あっ、あの、ご用件は?」
少し青ざめた受付嬢はかなりテンパってしまっているようだ。
「依頼完遂の報告に来ました。」
娘は努めて穏やかな声をかける。
「あ、はい。えっと?」
しかし受付嬢の頭が空回りしているのは明らかである。自然と同情、応援の視線が集まる。
「大丈夫ですか?」
「は、はい!
失礼いたしました。依頼完遂の報告ですね。」
「はい、そうです。」
娘のほっとしたような声音に人々は様々なことを思うが、その方向性は同じようだ。
会話に加わっているわけでもない人々が静かに息を吐き出す。
「ギルドカードの提示をお願いします。
はい、あ、あいっ、藍夏様。依頼完遂を確認しました。
報酬金はお渡ししましょうか、預金いたしましょうか?」
「預金します。」
「了解いたしました。
依頼完遂ありがとうございました。」
「はい。」
やり取りはそこで終わりのようで、娘は受付の横を抜けて奥の階段を上っていった。
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