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姿が見えなくなり、足音も聞こえなくなると、受付嬢の溜め息を皮切りにまた騒がしさが戻ってきた。
「いやー、総帝様はいつ見ても緊張するね。」
「オーラがあるよな、なんかピリッとしたのが。」
「あんなにチッコイのになあ。」
どうやら娘はギルドの実質的なトップともいうべき総帝様のようである。
「でもお優しいのは伝わってくる。」
「さっきも一介の受付嬢を心配されてたよな。」
「声音を穏やかにしたりなんていう配慮もされて。
本当に、お優しい。きっと笑顔の似合うお方だぜ?」
「どんな素顔なんだろうなあ。まあ、俺らみたいなただのギルド登録者なんかに分かるわけねえけどな。」
「そりゃそーだ、でも藍色の髪と瞳なんだろう?」
「藍夏様って二つ名はそれが由来って話だ。」
◇ ◆ ◇ ◆
「はあぁ~、緊張したぁ...。」
「お疲れ様、始めて総帝様を受け持ったにしては十分立派だったわよ。」
「先輩、そうでしょうか?」
「そうよ、私なんてパニックのままで寧ろ総帝様に誘導していただいたようなものだったもの。
総帝様がお優しい方でよかったわ、本当に。」
「そうだったんですかぁ...。確かにお優しい方ですよね。
尊敬します...。」
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