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「学園へ行くと言いましたって、ギルドランクはどうするのですか?
正直にVランクなんて言いましたら──」
「大丈夫。カモフラージュ用のギルドカードを作っといたから。
ちなみにAランクね。名前も勿論アイ・カレスト。」
アイ・カレストというのは総帝様の名前。
藍夏というのはSSSランクを越えた者のみがもつ二つ名である。
総帝様と言えば藍色というイメージをもつ者が多いのは恐らくこの二つ名のためだろう。
そして勿論、ギルドカードの偽造は法律違反である。
しかし総帝様はそこはスルーしてしまうようだ。
「依頼はどうするのですか。」
「授業時間外で時間作って受けてくれればいいよ。」
「緊急の依頼が入りましたら──」
「連絡入れるからその時は抜けてきて。」
暫く沈黙が続いたが総帝様は今度は大きく溜め息をついて口を開いた。
「どうしても行かなければならないようですね。」
「うん、もう届け出は出しちゃったから。
編入試験を受けて入っちゃって。」
「...。分かりました。」
総帝様は諦めたようだ。
「場所はそこのシェルダン魔法学園。
日時は明日の朝10時。
理事長室に行ってくれればいいよ。」
「...もう少し早く言ってくださいませんか。
試験もあるというのに、落ちてしまったらどうしてくれるのですか。」
「落ちない落ちない。アイがシェルダンごときに入れない訳がないって。
寧ろ授業で知ることなんて、学生がどれ程無知で弱いかくらいじゃないの?」
ギルドマスターはなかなかに辛辣な言葉を放つ。
「...では、何故行く必要があるのです?」
「んー、決まりだから?
高等部を卒業しなきゃなんないんだよね。」
「知りませんでしたけど。そんな決まり。」
「昨日決まったんだよ。お偉いお貴族様たちの会議で。」
「貴方も貴族でしょうに。」
「えー、俺はお偉くなんてないしなあ。」
「はあ、もう。
じゃあ私は明日の準備をしなければなりませんので、失礼しますよ。
あそこは確か全寮制でしたからね。」
総帝様はやはり疲れたようで、背を向けると部屋を出ていこうとする。
その背にギルドマスターはついでのように言葉をかけた。
「あ、学園楽しんでね。」
「できるといいですね。」
そう言い残して総帝様は部屋を出ていった。
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