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翌日の朝9時半、アイ・カレストはシェルダン魔法学園にやって来ていた。
「前々から大きい大きいとは思っていましたが...。
まあ、そんなことはどうでもいいですね。早く理事長室へ向かいましょう。」
そう言ってギルドマスターからもらった学園の地図を広げる。
やはり学園は広い。一応地図は頭のなかに入れておいたが時間はあるので確認しながら行くにこしたことはない。
(誰もいませんね。授業中なのでしょう。)
周りを見渡しながらゆっくりと歩いていくと、無事に理事長室に到着することができた。
ノックをすればギルドマスター同様にすぐさま返事が返ってきた。
少し驚いたが、
「失礼します。」
アイもいつもと同じように部屋に入っていった。
しかし勿論中にいるのはいつものギルドマスターではなく、三十代ほどの優しそうな印象を受ける男性。
「君がファールが言っていたアイ・カレストさんかね?」
ファールとはギルドマスターの家名である。
どうやらギルドマスターと理事長は知り合いのようだ。
「はい、マスターをご存知なのですか?」
「ああ、学生時代の同級生だったりしてね。
随分と振り回してくれる奴だったよ。」
「それは、深く同意いたします。」
「おや、君も何かファールの被害に?」
「ええ、今日の編入試験のことも、伝えられたのは昨日の夕方のことでしたし。」
「変わらない奴だねぇ、本当。
おや、10時を過ぎてしまったね。
ごめんね、関係のない話をしてしまって。
もうそろそろ試験に入ろうか。頑張ってくれたまえ。」
「はい。」
落ち着いて返事を返したが...
アイ・カレスト、これが初めて受ける筆記試験である。
緊張にのまれずにこなすことができるのか。
(まあ、実技試験もありますから多少はカバーできるでしょう。
緊張しすぎるのもよくありませんからね、駄目でしたらマスターに謝ることにしましょう。)
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