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すぐに桜ちゃんの手を冷やしておく。痕になったりしたら桜ちゃんも嫌だと思うしね。処置が早いと痕には残らないはずだ。
「いつもの私ならちゃんとできるんだからね。今日はたまたまだよ」
「わかってますよ。それより次はどうするんですか?」
「あっ、もう少し煮込んでね」
桜ちゃんは手を火傷したのにそのまま一人で料理をさせるのはオレにはできなかった。てか、最初から一緒にやってれば桜ちゃんが火傷をすることはなかった。そう考えるだけで桜ちゃんに申し訳ない気持ちが芽生えてくる。
そんな考えがわかったみたいで桜ちゃんはオレの手を自分の手で包み込む。その行動にドキッとしたのが桜ちゃんに伝わったかもしれない。
でも今の桜ちゃんはそんなことは気にすることなく話し出した。
「光輝君は何も悪くないわ。私が火傷したのは自分の不注意なんだからね。だから光輝君がそんな顔すると私が悲しくなるの」
何も言うことはできない。だけど思うことが一つだけある。
桜ちゃんを悲しませたくはない。
ただそれだけを思った。どうしてなのかはわからない。でも目の前にいてオレの手を包んでくれている桜ちゃんが凄く大切な存在だと認識する。
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