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ただ、ただ、白く。
影ですらほんの少しのクリーム色に錯覚するほど真っ白な大理石のような柱に囲まれた神殿の中、目の前にある大きな玉座には、いわゆる神、創世神ゼウス様がゆったりと座っている。
私はそれを、若干の緊張感とともに感じていた。
視線はいまだにゼウス様であろう足元に固定され、ご尊顔を直接見ることなど、とてもではないが、臆病者の私には出来そうにない。
「さて、あなたの番です」
ゼウス様の横に控えるセラフィム様は、何でもないことのように私へと言い放つ。
──ここは神界。
俗に『あの世』といわれる場所である。
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