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「は、はは……ナニコレ、笑えない」
ふらふらと幽也の机の前に立ち
――ガシャンッ
・・
俺は、机の上にあったそれを払い落とした
割れたガラスの音も
静けさに包まれた教室も
足元にもかかる水飛沫も……
全部、全部……ワカラナイ
「ねぇ……幽也、どこに居るの?」
・・
俺は、それを踏みつけ……
「……会いたいよ、幽也」
渇いた口内から声を出す
――今すぐ、あの温もりに触れなくては……
「……会いたいよ、幽也……ゆぅ…やぁ……」
俺がオレで無くなる
俺がオリオンで無くなる
ねぇ……どこに居るの?
約束通り、俺を拐いに来てよ?
今なら、遅刻したって怒らないから……
「俺を……早く、抱き締めてよ」
静まり返った教室で、冷たい自身を抱き締める……
足元にあるガラス片が、そんな姿を写し出す……
ガラス片の元の姿は、ガラス瓶
花を生ける為の、キレイな花瓶
花瓶から水が滴る
花を生かす為の水が足元に溢れる
・・
俺はそれを踏みつけた
・・
キレイな花瓶に入っていた、それを
・・
それを生かす為の水が床に滲み
今までに見たことのない、
真っ白な『百合』が命を絶った
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