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幽也の机に置いてあった花瓶が割れ、真っ白な百合が床に散る
……それが、一体何を表しているのか
俺に分かるはずがない
破片が散った床に膝をつけ、崩れるようにしゃがみ込む
どれほどの時間が経ったのだろうか
――ガラッ
「……秋吉くん、だね…………応接室に来なさい」
幽也の担任が、柔らかい声で俺に話しかけた
「…………。」
声を発する気力すらない
……只、幽也に会いたい
少しの期待を込め、崩れそうな足を動かす
チャイムの音さえも耳に入らない
始めはゆっくりだった足取りが……
気づけば駆け足になっていて
「……っ、は……はぁ」
応接室にたどり着いた頃には、肩で息をしている状態だった
「……っ、……」
息を整えて、ドアノブに手をかける
――ガチャ
重い扉がゆっくりと開き
「……待っていたよ、秋吉くん」
絶望の始まりだった
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