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遠くから鐘の音が聴こえる
なんだかウエディングのようで……
幽也は、俺の指先に口付けを交わし
深いキスをした
目を閉じて、至福に浸る
――時間が止まればいいのに……
頬に熱くて冷たい滴を感じながら、俺は気づかないフリをした
もう離れないように……
一生側に居れるように……
お互いに強く抱き締め合った
瞳から溢れる滴が頬をつたり地に落ちる
幽也のそれが、俺の頬に触れる
――なんで、『涙』が出るんだろ?
分からないけど悲しくて
雨のように、幽也の涙が俺の頬に降ってきた
抱き締めた幽也の身体の感覚が、段々と無くなってきて
目を開くと、幽也は温かな光に包まれていた
――……っ、一人にしないで、俺も連れていって……
必死に手を伸ばしても届かなくて
幽也は辛そうな顔で、首を横に降った
そして、ゆっくりと口を動かして
『ス』 『キ』
そう言うと、満足そうに微笑んで
「……っ、うぁ」
光と共に消えていった
「……っう、俺も……好き、だよぉ……バァカ……っく」
――
―――
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