天才少女警視・七荻ななか

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「警視、七荻ななか(ななおぎななか)警視、起きて下さい」 ピンクのレースカーテンがかかったベッドの中で、10歳位の金髪の少女が眠っている。 「……なんですの?羽鳥(はとり)!乙女の聖域に土足で入り込むからには何か余程の用があるんですのね!?」 ななかと呼ばれた少女が目を覚まし、不機嫌そうにベッドの側に立つ青年に言う。 短めに切り揃えられた髪をばっちり整え、シワ一つないスーツに身を包んだ青年とは対照的に、少女のピンクのパジャマはだらしなく乱れ、長い金髪は寝癖でボサボサだった。 「いえ。しっかり靴は脱いで来ました。私はアメリカ人ではありませんので。アイ・アム・ジャパニーズ!」 グッと親指を立てる羽鳥。 「いや、そういう事じゃなくて……まあ、いいですの。で、一体何の用ですの?」 ななかの言葉に、羽鳥が真剣な面持ちになって言う。 「私が来たということは、分かりますでしょう?」 「……事件ですのね?全く、休暇中の私を駆り出すということは、余程の難事件なんですの?」 ななかがだるそうに起き上がりながら言う。 だが、その瞳は先程までとはうってかわって鋭い光を放っていた。 その瞳は、10歳にして警視という立場に立つななかの、警視たる所以であった。
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