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「まず、あそこにいるメガネをかけたセミロングヘアの女性が、『大木弥生(おおきやよい)』34歳、ウェディング専門のフラワーショップ、『フローリスト・サザナミ』の代表として来たみたいですね」
羽鳥が茂みの影から、当事者を指差しつつ説明する。
「続いて、近くにいる茶髪の青年は『木嶋隆平(きじまりゅうへい)』25歳。ホテルの建設を受け持った建設会社、『木嶋建設』の社長らしいです。
それにしては、かなり若いのが気になりますけどね。
あと、彼くらいかっこよければ『トンカチ王子』とか呼ばれててもおかしくないのに、何で呼ばれてないんでしょうね。
全く不思議でなりません」
羽鳥がうーむと考え込む。
「なんか、羽鳥さんに突っ込めるななかさんを尊敬してきました……」
花子がふう、と溜め息をつきながら言う。
「ん?おっしゃる意味が良く分かりませんが、続けますね。
あちらにいる、少し太り気味の中年の男性が、『加賀見銀次郎(かがみぎんじろう)』50歳。大手金融会社『カガミファイナンス』の社長で、このホテルへ多額の出資をしたようですね。
ちなみに、加賀見新人は彼の息子です。
本来、新人はついてくる予定では無かったようですが、本人たっての希望で無理矢理ついてきたそうですよ。
ホテル側も出資者の頼みとあっては無下に断れなかったのでしょう」
羽鳥が淡々と説明する。
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