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♪ポペーポペーポペー♪
『ロレックスが、1:13をお知らせします』
♪ポペーポペーポペー♪
真っ暗な部屋に、力の抜けるような電子音と、音声が流れる。
「ムニャムニャ……」
だが、そんな事にも気付かず、ベッドで寝息を立てている部屋の主。
♪ポペーポペーポペー♪
『ロレックスが、1:13をお知らせします』
♪ポペーポペーポペー♪
目を覚まさない主に向かって、尚も鳴り響く機械音。
♪ポペーポペーポペー♪
『ロレックスが、1:13をお知らせします』
♪ポペーポペーポペー♪
「あーっ!なんだよもう、うるせえな!」
ついに目を覚す部屋の主、雨宮。
♪ポペーポペーポペー♪
『ロレックスが、1:13をお知らせします』
♪ポペーポペーポペー♪
雨宮の叱責にも応じず、尚も機械音を発し続ける時計。
「なんだよ!ついに壊れたか……ってあれ?」
雨宮が、ふと携帯を見て気付く。
携帯には着信があった事を示すランプが点灯していた。
「花子……?20分前に着信か……」
雨宮が、怪訝そうに花子にダイヤルをする。
だが、花子は出ない。
「何か用だったのかな?」
雨宮が、顎に手を当てて考え込む。
「一応、行ってみるかな」
スカル柄のパジャマに、金縁のトレンチコートを羽織り、携帯電話をポケットに差し込んで、雨宮は部屋の扉を開けた。
「全く、こんな時間に何の用だろ……」
一言呟いて、雨宮は薄暗い廊下に足を踏み出した。
腕時計の機械音は、いつの間にか止んでいた。
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