物語 - 3章 - の続き

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 今日2人組に辿りついた時、何もかも1人でやってみせると思っていた自分の考えが甘く、非力な女のあたし1人ではどうにもならないことや、ヒロちゃん達の協力を得ることは無理だということは既に考えた。  やはり――あたしの目的を果たすには、遠藤さんに話すしか道は残されていない。  榊組にとってあの2人組は政やんの仇だ。  その点ではあたしと利害関係が一致する。  そして彼らは、一般人とは違い、身の破滅をおそれずに仲間の仇を討とうとする人種だ。  政やんを殺した犯人を知れば、あたしが頭を下げることなく動くに違いない。  問題なのはあたしが犯人を知っている理由と、その2人組に行動を起こさせた首謀者亜沙美とあたしとの関係をどう説明するかだ。  そしてあたしは仇討ちに加わらなければならない。  政やんがさらわれた時の状況を話さずして納得させることは出来ないだろう。  遠藤さんに援交のことを話すのは避けられない。  覚悟を決めた。  後は何をどこまで話し、あたしの条件を聞いてもらうにはどうすればよいか――。  しかし――あたしが亜沙美の立場だったとして、ただ憎いというだけで、同じ女子高生を相手に、ヤクザを使って報復を与えることなど考えるだろうか?  例えば、政やんに頼んで亜沙美を脅すとか?  亜沙美は、あたしには想像もつかないほどの憎しみを抱えていたのだろうか。  効き始めた冷房の中で、ふと思ったことだった。
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