物語 - 3章 - の続き

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 「あの唄、皆んなすっかり気に入っちまってな」  「良い唄ですよね本当に」  「政は、唄に出てくる“愛の庭”ってのをこの組と重ねてたのかも知れないな。“名もない花”ってのを社会不適合者の自分たちに置き換えてよ」  「あたしもそう思います」  「正直だなおい」  苦笑する遠藤さんを見て、慌てて否定した。  「いや、あの。前半の方がです」  ノックが有り、組員がホットコーヒーを2つ置いていった。  冷房が効いているので丁度良さそうだ。  お互いに口を付け、カップを置くと遠藤さんが言った。  「で、どうした。何があった?」  「大切な話です。少し時間がかかります。大丈夫ですか?」  遠藤さんは頷くと内線電話を取り、電話も来客も通すなと組員に命じた。  あたしはソファーの背もたれから体を起こし、深呼吸をした。  「あたし政やんを殺した犯人を知っています」  遠藤さんが息を飲み、少し間を置いて言った。  「誰だ? 何で芽衣が知ってる」  「2人組の男です。他にもいるかも知れませんけど2人組は確定です。今日辿りつきました。でも首謀者は別の人間です」  「答えになってないぞ。何でお前が知ってるんだ」  さっきまでの優しい表情を消した遠藤さんが、低く強い口調で言った。
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