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受付で勧められたパック料金を断り、通常料金を選んだ。
フリードリンクのアイスコーヒーを手にし、個室のリクライニングシートに落ち着いた。
携帯の電波状態が、良好を表す4本のアンテナが立っているのを確認し、マナーモードに切り替えた。
漫画を読む気も、ゲームをする気も起きない。
何となく、パソコンの画面でインターネットテレビを起動し、“オススメ”にあった洋画のホラーを再生した。
ヘッドフォンは付けず、無音のままそれを眺めた。
予定では、遠藤さんからの電話が夕方に入ることになっている。
亜沙美のようすを見て判断するのだろう。
ハッキリと判らない時間を待つのは辛い。
何時間後でもいいから目標とする時間が欲しかった。
目標の時間までじっと時計を見つめ、秒針が回るのを数えることが出来ればどんなに楽だろう。
目をつむれば直ぐに、亜沙美と対峙する際のシュミレーションが浮かんでくる。
そういえば、解放した後の亜沙美は、あたしにどういった態度を取るだろうか。
嫌いだと思う相手に対してあれほどのことをする人間が、反省して必死に詫びてくることは想像もできない。
悔しさに耐え切れず、学校を去って行くだろうか。
それとも、表面上は悔しさを隠し、卒業まで居座り続けるだろうか。
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