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あたし自身はどうだろうか。
復讐を遂げたからといって、恨みを心の奥底から消しさることなど出来ないだろう。
目の前をウロウロする亜沙美の姿を見て、冷静でいられる気はしない。
やはり、学校を去れと命じてやるべきか――。
*
映画の再生が終わり、やっと昼になろうとしている。
朝から何も食べていないことに気付き、受付で何か購入しようと思い個室を出た。
隣の個室に妙な雰囲気を感じ、通りがけにドアの窓から中を覗くと、男が下半身を剥き出しにしてこっちを見ていた。
思わず中指を突き立ててやった。
犯罪の温床になりやすいという理由で、壁が低くされたり、ドアが透明になったりしているとは聞いていたけれど、ああいった見せたがりは、かえって喜ぶのではないか。
受付でカップ麺を購入し、隣が変態なので部屋を変えてくれと言うと、快く応じてくれた。
違う列の個室に案内され、早速カップ麺に手を付けたものの、半分も食べることが出来なかった。
肩の凝りを感じ、朝から掛けっぱなしだった斜めがけバックを外したら、財布を落としてその中身がこぼれ落ちた。
ついでに溜まったレシートを捨て、お金を数えるとまだ10万近く残っていた。
しかしこのお金も、これから先は減る一方だ。
遥と一緒にバイトするのも悪くない。
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