物語 - 3章 - の続き

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 中学に上がる春休み、幼馴染だったあたしたちに突然の別れが訪れた。  亜沙美の母親が再婚する相手と暮らすために海老名に引っ越すことになったからだ。  亜沙美はなかなか言い出せなかったといい、あたしがそれを知ったのは、引っ越し前日のことだった。  公園の桜の木の下で、離れてもずっと親友だと誓い合った。  幼稚園の時からから8年もの間、毎日何をするのも一緒だった。  お互いに片親という境遇から感じる親近感もあったと思う。  亜沙美の母親とヒロちゃんが同級生だったこともあって家族ぐるみの付き合いもあった。  泣き、笑い、励ましあい、競い合うライバルでもあった。  別れの時、母親の車の窓から泣き顔を見せる亜沙美に、あたしも泣きながら手を振った。  海老名は川を渡って直ぐのとなり町なのに、その距離以上に遠く感じる別れだった。  最初のうちは毎日メールで連絡を取り合っていたものの、お互いに迎えた新しい生活の中で、その頻度は段々と減っていった。  中学時代、街でばったり会ったことは何度かあったけれど、声を掛け合うことはなかった。  自分以外の新しい友と歩く姿を見て、嫉妬に似た気持ちがあったのか。  久しぶりに見るお互いの、急激な体の成長や、初めて見る制服姿が照れくさかったのか。  何故かはよく分からないけれど、大人の階段を急速に登りつつある時期の何かが、そうさせて出来た溝だと思う。
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