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高校で再会しても、その溝は深まるばかりだった。
亜沙美があたしの存在を気にしていることは、必要以上に感じる視線で分かっていた。
しかし気になるくせに言葉を交わそうとはしない、その態度が段々と疎ましいものに変わっていった。
きっと亜沙美から見たあたしもそうだったのではないかと思う。
文化祭のミスコンで、あたしが1年の部のグランプリに選ばれた時、準ミスが亜沙美だった。
嫌々ステージに上るあたしに対し、亜沙美は酷く腹立たしそうな視線をぶつけてきた。
あたしにとっては勝手に推薦されて勝手に選ばれただけのことで、亜沙美の筋違いの視線がムカついた。
あたしは一つ上の段から、感じてもいない優越感を漂わせて亜沙美を見下ろしてやった。
その出来事が、深まりつつあった溝を決定的に切り離なし、ハッキリとお互いを嫌い合う存在にしたと思う。
2年になって同じクラスになると、亜沙美は大勢の仲間を引き連れるようになっていた。
何か嫌がらせを仕掛けてくるという訳ではなかった。
けれどその集団の中から向けてくる亜沙美の不快な視線がその集団の総意のように感じられ、あたしは亜沙美に対する嫌悪感を更に倍増させるとともに、集団に対しての嫌悪感も持つようになっていた。
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