物語 - 3章 - の続き

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 兄との禁断の関係からその子を身籠り、また放課後には援交をもしている売女が、自分の思いを寄せる男の告白を受け入れるのを目の当たりにしたことで、亜沙美の怒りは頂点に達した。  そして亜沙美はあたしの留守番電話に『あんた覚悟しておきなさいよ』という宣言をし、ラブホの入り口に立つあたしと竹内の写真を学校にバラまいた。  亜沙美の怒りはそれだけで収まるものではなかった。  あの2人組を使い、暴力団同士のシノギ問題に見せかけ、あたしを脅した。  そう見せかける為には、政やんにも警告を与える必要があった。  しかし政やんから思わぬ反撃を受けた2人組は、抗戦する中で殺してしまったか、殺すしかなくなった。  あたしの悪戯を思い込んだのはあいつらの勝手だ。  いや、悪戯でなく事実だったとしても、あいつらに文句を言われる筋合いはない。  援交だって、警察に捕まるならば仕方ない。  けれどあいつらに直接文句を言われる筋合いはない。  どうしても気に入らないのであれば、警察に通報し、警察があたしに罰を与えればいいのだ。  加藤の告白だって、あたしが頼んだり仕組んだことではない。  加藤が誰を好きになろうが、加藤の勝手だ。  それにあたしがどう答えようとあたしの勝手だ。  亜沙美と付き合っている加藤を奪った訳ではないのだ。  誰にも文句を言われる筋合いはない。  百歩譲って、どこかあたしに落ち度があったとしても、亜沙美から罰を受ける筋合いなど絶対にない。
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