物語 - 3章 - の続き

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 あたしは亜沙美から、いわれのない筋違いの報復を受けたのだ。  直ぐにでも亜沙美を八つ裂きにし、この煮えたぎった体中の血を冷ましたいのが本音だ。  しかし、怒りに身を任せて復讐を遂げてしまえば、結果あたし自身や周りの者たちの人生を破滅に追い込むことになる。  自ら破滅の道を選んだ亜沙美に付き合うなど、絶対に嫌だ。  あたし自身や周りの人間はこれ以上傷つかず、その上で目的を全て達成してやる。  その為にはまず一度冷静になり、しっかりと作戦を考えねばならない。  湿気を伴った高い温度の空気が部屋に充満している。  開け放った2箇所の窓を通る、いつもの風がない。  窓を閉め、自分の部屋では今年初めての冷房ボタンを押した。  亜沙美には自らの口で全てを語らせ、その上で裁き、償わせてやろう。  あの2人組には、何故政やんを殺さなければならなかったのか、政やんはどのようにして最後を遂げたのか、一部始終聞語らせなければならない。  その上で裁き、償わせてやろう。  他に加担した人間がいたならば、やはり同じ運命を辿ってもらおう。  それにはまず3人をさらって監禁するしか方法はない。  亜沙美が首謀者だとわかった今も、やらなければならないことに大した変わりはないのだ。  話の根底は変わってしまったけれど、さらう人間が1人増えただけだ。  さらうのは3人同時期でなければならない。  時期をズラしてしまえばどちらか残った方が感づいて警戒してしまう。
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