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「あ? 聞こえなかったのかァ? お前がリースの前菜だって言ったんだよ」
全く空気を読まずに、更にシェリスを挑発する生徒B。
ぷっつん! と、シェリスの中で何かが切れた音がした。
「……殺してやる!」
――ゴゥゥゥン!!
「ひっ……。な、なんだあっ!?」
――刹那、倉庫内を激しい風が暴れまわる。
ただそこにいるだけで全身が貫かれそうにすら感じる、激しい魔力の奔流に彼等は震え上がった。
そして、シェリスの真っ赤な瞳は燃えるような輝きを放ち、その男子生徒達を見据えている。
その瞳から伝わるのは、圧倒的な怒りと憎悪。そして、それだけで彼等を萎縮させてしまうほどの“強さ”
激しい突風は、桃色の髪を逆立たせ、白いスカートを舞い上がらせるが、そんなものに目をやる余裕は、今の彼等には無い。
目の前に立つ少女に対する圧倒的な恐怖。
今の彼等を支配しているものは、それだった。
「な……なんだよこの魔力!」
「わ、我等の予想を遥かに凌駕するこの力……。この女……できる!!」
ガタガタ震えながら御託を並べる二人を前に、シェリスは右手を高々と天に掲げ、術式を発動する。
「聖域汚染! ロスト・ヴァージン!!」
その瞬間、空間がグニャリとひん曲がるような感覚が、二人の男子生徒達を襲った。
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