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アルはゆっくりと順序立てて、リースに説明をした。
昔、シェリスに魔力を奪われたこと。
その代わりに、触れた相手から魔力を吸収する魔法を授かったこと。
今はシェリスと寝食を共にしていて、毎日シェリスに魔力を貰わなければ、魔法は使えないこと。
そして魔力を貰うために、色々と過激なプレイを要求されているということ。
その全てがリースにとって信じ難い事実であり、衝撃的なことでもあった。
「――と、いうわけなんだ。だからまだ、一人じゃ魔法は使えないんだよ」
淡々と紡がれたアルの言葉に対して、リースは俯いたまま、何も答えようとしなかった。
「リース……」
無言のリースに、アルが小さく呼びかける。
その瞬間。
「アルっ!」
「わ、わわっ!」
俯いていたリースが、いきなりアルに抱きついた。
「な、なんだよおいっ! 離れ……っ!?」
混乱しながらも、リースを引き離そうとするアルの目に映ったのは、リースの泣き顔だった。
「リ、リース……?」
「ひどい……そんなのひどすぎるよ!」
アルの身体をギュッと抱きしめ、その胸に顔を押し付けて涙するリース。
倒れ込めば重なりあってしまいそうな体勢で、アルはしっかり大地に手を付きながら、泣きじゃくるリースを無言で見つめていた。
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